プローブピン材料

「プローブピン材料」とは
半導体や電子部品の電気特性検査(ウェハテストやファイナルテスト)で使用される微細接触部品で、高い接触安定性と耐久性が求められます。田中貴金属では、Pd-Ag-Cu系、Pd-Ag-Au-Pt-Cu、高硬度Pd合金など、独自開発の高性能貴金属合金を使用し、Φ20〜1,000µmまで対応可能なワイヤとPd-Ag-Cu系、Cu合金のシート材を保有しています
半導体製造の検査工程で用いられる貴金属系プローブピン材料。
半導体製造の前工程及び後工程で実施される検査用のプローブピンとして幅広い貴金属材料を取り揃えています。
プローブピン材料の用途
半導体集積回路は、その製造工程における前工程と後工程のそれぞれで、通電試験が行われます。
前工程で行われる通電試験はウエハーテストと呼ばれ、プローブカードが使用されます。プローブカードには探針としてカンチレバータイプやバーチカルタイプなどのプローブピンが使われます。
後工程で行われる通電試験はファイナルテストと呼ばれ、テストソケットが使用されます。テストソケットには探針としてスプリングプローブ※のプローブピンが使用されます。
プローブピン材料には、その用途に応じて硬さや曲げ性等の機械的性質、電気抵抗率等の電気的性質など求められる性能が異なるため、様々な材料がラインナップされています。
※ スプリングプローブは、通称ポゴピンとも呼ばれる。「POGO」はEverett Charles Technologies, Inc.の登録商標です。
プローブピンの種類と特長
カンチレバータイプ
- 特徴:片持ち梁の原理で働く端子構造を持つプローブカードに使われます。プローブピンの先端部は針状にするためのテーパー加工と曲げ加工を施して使用します。
- 材料の要求特性:材料の硬さ、直線性、電気抵抗率、屈曲性等
- 線径:Φ50~300µm
バーチカルタイプ
- 特徴:プローブを垂直方向に配置した端子構造を持つプローブカードに使用され、方式によっては座屈変形を利用します。プローブピンの先端部は被検査デバイスの電極形状に応じてニードルや半球形状等に加工して使用します。
- 材料の要求特性:材料の硬さ、直線性、電気抵抗率、屈曲性等
- 線径:Φ20~70µm
スプリングプローブ
- 特徴:コンタクトプローブとも呼ばれます。IC、電子部品やプリント基板の電気的通電検査に使われます。先端部を検査対象に対応した形状に加工して使用します。
- 材料の要求特性:材料の硬さ、直線性、接触抵抗等
- 線径:Φ500µm~1,000µm
主要なプローブピン用材料一覧
| SP-1 | SP-2 | TK-1Pro | TK-FS | TK-SK | TK-SR | Ir | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 組成 (mass%) |
Pd | 35 | – | 40 | 55.8 | 48.9 | – | – |
| Ag | 30 | 10 | 29.5 | 6.9 | 19.25 | – | – | |
| Au | 10 | 70 | – | – | – | – | – | |
| Pt | 10 | 5 | – | – | – | – | – | |
| その他 | Cu, Zn | Cu, Ni | Cu等 | Cu等 | Cu等 | Rh | Ir | |
| 対応線径 (mm) | 0.08-1.00 | 0.08-1.00 | 0.1-1.00 | 0.03-1.00 | 0.50-0.8 | 0.018-0.30 | 0.03-0.30 | |
| 電気抵抗率 |
25-33 | 13.3 | 11 | 6.1-6.9 | 16.1 | 5.3-7.0 | 5.6 | |
| 導電率 (%IACS) | 5.2-6.9 | 13 | 15.7 | 25.0-28.3 | 10.7 | 24.6-32.5 | 30.8 | |
| 抵抗温度係数 (ppm) | 299 | 420 | – | 1346 | – | 4500 | 3900 | |
| ビッカース硬さ (HV) | 300-350 | 300-360 | 500-540 | 400-520 | 600-640 | 450-620 | 500-750 | |
| 引張強さ (MPa) | 1210- 1450 |
1210- 1350 |
1800- 2000 |
1250- 1720 |
– | 2000- 3860 |
1700- 3600 |
|
| 伸び (%) | 1-2 | 1-2 | 2-3 | 10-25 | 0-1 | 1-3 | 1-2 | |
| ヤング率 (GPa) | 112 | 106 | 110 | 150 | 119 | 380 | 530 | |
| 0.2%耐力 (MPa) | 1160- 1400 |
1100- 1250 |
– | 1180- 1640 |
– | 1400-3000 | -3400 | |
| 弾性限 (MPa) | 1110- 1170 |
1050- 1100 |
– | 1000- 1500 |
– | 650-1300 | -2900 | |
| 弾性限伸び (%) | 0.9-1.3 | 0.8-1.0 | – | 0.8-1.1 | 0-1 | 0.2-0.4 | 0.4-0.6 | |
| |
3-6 | 3-6 | 0-2 | 10-14 | 0-2 | 8-10 | – | |
| 備考 | *2 | – | – | *3 | *3 | *3 | *3 | |
*1:線径0.10mmにおける破断までの繰り返し折り曲げ回数(当社基準)
*2:ASTM B540相当
*3:当社保有特許対象製品
上記は一例であり、掲載のない組成にも対応いたしますのでご相談ください。
※上記は、線材でご提供する場合の特性値です。線材とシート(板材)では特性値が異なります。
※TK-FS、SP-1については、シート(板材)でのご提供も可能です。詳しくは当ページ下部の「バーチカルプローブピン用板材料」をご確認ください。
標準材料:TK-1Pro
田中貴金属が提供するスプリングプローブ向け材料における標準材料
用途
主にスプリングプローブのプランジャー部品に使用される材料です。
従来のTK-1が持っていた接触抵抗安定性を維持しつつ、切削性を改善させました。
特長
- 従来のTK-1の力学特性を改良
- 従来のTK-1から硬さを約10%アップ
- さらに靭性向上により切削加工時の切削性改善効果に寄与
TK-1ProとTK-1の三点曲げ特性比較
開発材料:TK-FS
低い電気抵抗率、高い曲げ性、幅広い硬さレンジの全てを同時に実現。
高硬度、低電気抵抗率、高屈曲性という3つの機能を同時に達成する材料は、当社の既存製品にはありませんでしたが、本製品ではこの課題を解決することに成功し、同一材料で、様々なタイプのプローブピンへの適用が可能となりました。ウエハーテスト用(前工程)プローブカードのカンチレバータイプや、バーチカルタイプなど、幅広いタイプのプローブピンに対応できる材料です。
特長
- ビッカース硬さが500以上、7.0µΩ・cm以下の電気抵抗率を持ち、10回以上の繰り返し折り曲げ耐性(当社基準)といった3つの機能を同時に達成
- 独自の加工技術により、幅広いビッカース硬さ(400~520)に調整が可能
- 田中貴金属工業の既存のプローブピン材料よりも、高い伸び率(10%~25%)を有する
TK-FSの性能(主要なプローブピン用材料との比較)
硬さ/導電率
伸び率
TK-FSの高い折り曲げ耐性
繰り返し90°折り曲げ試験の模式図
開発材料:TK-SK
パラジウム合金材料として、硬度640HVを達成。
半導体検査装置において、プローブピンの摩耗による変形を軽減し、検査装置の長寿命化と低コスト化に寄与。
用途
プローブピン用パラジウム合金材料として、最大硬度640HVを有するため、主に、後工程で行われる通電試験のファイナルテストに用いられるテストソケット向けとしての用途を想定しています。
特長
テストソケットには、探針としてスプリングプローブのプローブピンが使用されます。検査時にプローブピンの先端(プランジャー)は、基板との接触時に摩擦が発生するため、摩耗により変形します。また、プランジャーには、はんだ材料が付着する場合があり、クリーニングのためにはんだ材料を削り落とす必要があり、その際にもプランジャーは摩耗により変形してしまいます。
検査時の変形により、検査装置のプローブピンは定期的にメンテナンスの必要がありますが、高硬度のプローブピンを採用することで、半導体検査装置におけるプローブピンの摩耗による変形を軽減し、検査装置の長寿命化と低コスト化への寄与が期待できます。
製品性質参考値
| 物理的性質 | 参考値 |
|---|---|
| 対応線径 (mm) | 0.50-0.80 |
| 融点 (℃) | 997℃ |
| 密度 (g/cm3) | 10.52 |
| ビッカース硬さ (HV) | 640 |
| 電気抵抗率 (µΩ·cm) | 16.1 |
| 導電率 (%IACS) | 10.7 |
自社製プローブピン用材料と非貴金属高硬度材料の硬さ比較
開発材料:TK-SR

高強度・高弾性限・高硬度・高導電率を有する新たなRhプローブピン
半導体検査装置において、プローブカードにおける長寿命化、パフォーマンスの安定化に貢献。
用途
プローブピン材料として高く長時間安定したパフォーマンスが期待でき、前工程で行われるウェハーテストに用いられるプローブカード向けとしての用途を想定しています。
特長
プローブカードは、半導体前工程でシリコンウェハーの通電検査する際に用いられ、一枚あたり数千~数万本の精緻なプローブピンが使用されております。通電検査は微小な荷重をかけ、数十万回、場合によっては数百万回と繰り返し行われます。プローブピンは一本でも変形や折れが発生してしまうとプローブピンの交換や装置によってはプローブカード自体の交換が必要となるため、繰り返しの荷重においても変形や折れが生じないような耐久性が要求されます。
高強度・高弾性限のTK-SRを採用することで、プローブピンの変形や折れが低減でき、長時間安定したパフォーマンスが発揮できます。また、部材交換の頻度が減少しますので、プローブカードの長寿命化や低コスト化に貢献できます。
「TK-SR」製品性能(参考値)
| 特性 | TK-SR (As Drawn) |
従来Rh線 | |
|---|---|---|---|
| 線径 [mm] | 0.018 | 0.150 | 0.150 |
| UTS [MPa] | 3860 | 2478 | 1912 |
| 弾性限 [MPa] | 1210 | 1122 | 860 |
| 破断伸び [%] | 2.72 | 2.46 | 1.42 |
| ビッカース硬さ [HV] | 620 | 543 | 499 |
| 比抵抗 [µΩ・cm] | 6.6 | 6.3 | 5.4 |
バーチカルプローブピン用板材料
各種貴金属シート(板材)を提供。
最小厚みは60µmを実現。進むファインピッチ化に追随。
バーチカルプローブピン向けに、TK-FS、SP-1、TK-101のシート(板材)をご提供可能です。
特性
| TK-FS (Pd-Ag-Cu) |
SP-1 (Pd-Ag-Au-Pt-Cu) |
TK-101 (Cu-Ag) |
||
|---|---|---|---|---|
| 密度 (g/cm3) | 10.49 | 11.90 | 9.07 | |
| 融点 (℃) | 1,100 | 1,098 | 780 (Solidus) | |
| 電気抵抗率 at R.T. (µΩ・cm) |
As-Rolled | – | 25.2 | 2.5 |
| As-Aged | 6* | – | – | |
| ビッカース硬さ (HV) |
As-Rolled | – | 300 | 330 |
| As-Aged | 400-420* | – | – | |
| 引張強さ (MPa) | 1,200* | 1,100 | 1,000 | |
| ヤング率 (GPa) | 110* | 110 | 105 | |
| 0.2%耐力 (MPa) | 1,150* | – | 900 | |
*:TK-FS sheetに関しては開発品のため特性値は参考値となります。
提供可能なシートサイズ
| TK-FS (Pd-Ag-Cu) |
SP-1 (Pd-Ag-Au-Pt-Cu) |
TK-101 (Cu-Ag) |
|
|---|---|---|---|
| 厚さ (mm) | 0.06~0.20 | 0.06~0.20 | 0.06~0.20 |
| 幅 (mm) | ~70 | ~70 | ~70 |
| 長さ (mm) | ~330 | ~330 | ~330 |
反りやうねりに関してはサンプル支給時は不問、ご要望に応じてご相談とさせていただきます。
プローブピン用銅合金板材料特性比較 (導電率/U.T.S.@20℃)